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トラウマ映画『ヘレディタリー/継承』の紹介と散りばめられた10の謎を考察

 

 


予告

映画『ヘレディタリー/継承』予告

 

まだ『ヘレディタリー/継承』を観ていない方は…

 

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※2022年7月の配信状況になります。

最新の状況は各配信サイトをご確認下さい。

 

評判

アメリカのスキーリゾート地で有名なユタ州パークシティで毎年1月中旬に行われるサンダンス映画祭でプレミア上映された本作は、「最高傑作」「今世紀最高」とまで称された最恐映画の名に相応しいホラー映画になります。

 

何がそんなに凄いのか。

順を追って説明をしていきます。

 

監督

映画好きすらも敬遠することのあるサイコロジカルホラー映画『ミッドサマー』で一躍有名となったアリ・アスター。『ヘレディタリー/継承』も含め、公開される度に話題に上がるのは彼の実力そのもの。

 

 

当時『ミッドサマー』は、「カップルで観に行くと別れる」とよく噂が立ちました。実際のところアメリカでは制作会社が無料セラピーのサービスを提供した程だそうです。

 


主演

トニ・コレット『ヘレディタリー』が到達した「高み」を検証

情緒不安定な状態が続く主人公を演じる。

渾身の絶叫も含め、トラウマとなること間違いなし。

 

ホラー映画『ヘレディタリー/継承』での演技は高く評価され、『ローリング・ストーン』のピーター・トラヴァースは「キャリアの集大成とも言うべき演技を披露したコレットは、アニーの肉体と精神の分離へと観客を没入させ、観客に残っている度胸の類いの一切を破壊する。コレットの一世一代の演技は一晩寝たくらいでは忘れ去ることができないほどの刺激に満ちあふれている。もっとも、忘れ去ろうとする前に、観客は全身の血が沸き立たんばかりに叫び出すだろうが。」と評している。トニ・コレット - Wikipedia

 

 


物語

ミニチュア模型のアーティストのアニーは、疎遠になっていた母エレンの死をきっかけにグループ・カウンセリングに参加するようになります。そこでアニーが語ったのは、母が解離性同一性障害を患っていたこと、父が精神分裂病で餓死したこと、兄が極度の被害妄想で自殺したこと、そしてアニー自身もまた夢遊病に悩まされており、先天性遺伝により息子のピーター、妹のチャーリーにその影響が出るのではないかという心配でした。

 


パーティに出たいピーターは、アニーに嘘をつき車を借りようとしますが、アニーから、車を借す条件として、チャーリーの同行を求められます。パーティーでナッツ入りのケーキを食べてしまいアレルギー発作を起こしてしまうチャーリー。急いで病院に連れて行こうとするピーター。

 


恐ろしいことが起きようとしていました。

 

 

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感想

序盤の見てはいけないものを見てしまったという後悔にも似たような感情と、中盤の不気味だけど誰も頼りにならない不安と苛立ち、終盤の怒涛の展開で、文字通り頭の中がぐちゃぐちゃになったまま、スクリーンの外に放り出されたような気分になります。

 


観て!!!!とは色々な意味で強く言えないけど、観て欲しい映画です(私はクライマックスでリアルに飛び跳ねました笑)。

 

 

 

以降は視聴済みの方用の考察になります。
ネタバレを含むのでまだ観ていない方は観た後にどうぞ!

 

 

 

 

考察

 


①夢遊病の母アニー

アニーとピーターの関係が良好ではないのは過去の出来事も災いしています。それは、寝室で寝ているピーターの前に現れた夢遊病のアニーがオイルに火をつけようとしていたことです。しかし、これには理由があります。ペイモンを召喚するためにはグラハム家の男性を犠牲にすることから、ペイモンに身体を奪われるくらいなら…と手に掛けようとしたと思われます。アニーは作中ヒステリックな印象を持ちがちですが、子供想いの優しい母親です。


②舌を鳴らす娘チャーリー

冒頭から変な舌の鳴らし方をしたり、ハトの首を切ったりと異常な行動の多いチャーリー。また、チャーリーは生まれた時泣かなかったとアニーは言います。ラストのシーン、ピーターも同じように舌を鳴らすことから、チャーリーはいつからかは分かりませんが少なくとも生まれてきた時点で既にペイモンに取り憑かれていたことが分かります。


③ペイモンの崇拝者

アニーは、祖母エレンが家族を操ろうとしていたため、ピーターを近付けないように、不干渉のルールを作りました。その後、少し落ち着き、娘のチャーリーが生まれ、エレンに差し出す形に。但し仲が良くなかったのは、エレンの葬儀のアニーの表情から見て取れます。この葬式に参列した方をよく見てみると、クライマックスで集まったペイモンの崇拝者と一致…。2回目の鑑賞は違った形で観ることになりそうです。


④娘チャーリーの死の真相

アレルギーを発症したチャーリーを病院に連れて行くため、車で急ぐピーター。息苦しくなったチャーリーが窓から顔を出したタイミングで、動物が飛び出し、急ハンドルを切ったせいでチャーリーの頭が吹き飛ぶ壮絶なピーターの運転過失シーン…と思われそうですが、ここにも伏線が。ショックと薄暗い画面で見逃してしまいそうな電柱のアップをよく見るとペイモンの紋章が…。ペイモンが復活するためには男性の身体が必要なため、女性のチャーリーに宿っていても仕方がありません。これは、最終的にピーターにペイモンを宿すためにペイモンの崇拝者によって仕組まれた罠だったのです。


⑤グラハム家を模したジオラマ

ミニチュア模型のアーティストであるアニーが、家の中で作っている、家のジオラマ。これは自らの精神投影、夢遊病の治療の目的で行われているセラピーの一種だと思われるが、よく見るとかなり不穏な描写が…。徐々にジオラマに近付きピーターの部屋をアップしているのはペイモン視点だと分かるし、チャーリーの件以降はジオラマにチャーリーの事故現場が追加される。アニーもまた少しずつ"なにか"に抗えなくなっていくのが分かる。また自制心がどんどん効かなくってきているのは、アニーのヒステリックだけではなく、ジョーンおばさんに飲まされた謎の液体、降霊術が関係していると思われる。

 


⑥兄チャールズの遺書

「母さんが僕の中に何かを招こうとした」と遺書に書いた兄のチャールズは首吊り自殺をしてしまいました。これは元々チャールズを中心としたペイモン復活の儀式を予定していたが失敗に終わり、次はピーターを狙っていたことがアニとエレンとの確執から見て取れます。視聴者にしか読み取れない情報なのでゾクっとします。


⑦謎の呪文

「ダグダニー」「パラゴン」「サトニー」「ザザス」。これは、アニーがグループ・カウンセリングで出会い降霊術を行うきっかけを作ったジョーンおばさんが学校に現れ、ピーターに吐き捨てる言葉とチャーリーの部屋に浮かび上がったものです。ピーターよ身体から出て行け!と叫ばれた直後、ピーターは授業中に机に頭を打ち付けてしまいます。これはペイモンがピーターの身体を乗っ取りやすくするように使われた呪文でしょう。


⑧夫スティーブは何故焼かれたのか

降霊術に使用したチャーリーの遺品であるスケッチブック。これを処分すれば事態が良くなるかもしれないと考えたアニーは火を付けようとしましたが、自身にも火が燃え移りそうになったため中断しました。そこで考えたのが燃やすことが出来ない自分に代わって、スティーブに燃やしてもらうことでした。ピーターの身に危険が迫っているのに、スティーブは信用せず実行にも移しません。痺れを切らしたアニーは意を決して自らの手で暖炉の中にスケッチブックを投げ込みます。すると燃えたのは何故かスティーブ。これはスティーブが警察に通報しようとしたため、ペイモンの怒りを買ったとする描写になります。

 


⑨何度も描かれる首なし死体

掘り起こされた首のないエレンの死体、事故で首を失ったチャーリー、そしてノコギリで自らの首を落とすアニー。女性ばかりが首を落としていることが分かります。グラハム家の女性の首を捧げ、男性の身体にペイモンを宿し復活させる儀式の一部なのでしょう。首がテーマになっていることから、冒頭のチャーリーが鳩の首を切っていた異常行動も納得できます。

 


⑩クライマックスの光の正体

劇中何度も現れる青白い光。ある時は家の中、またある時は、学校でピーターに取り憑き頭を机にぶつけさせる。クライマックスで窓から逃げ出したピーターの後をよく見ると青白い光が追いかけているのが分かります。この青白い光はペイモンそのものであり、ピーターの身体をペイモンが完全に乗っ取ったことを表す描写です。

 


ex.地獄の王ペイモン

またの名をパイモン。序列9番目の地獄の王であり、200もの軍を率いています。また、その外見は、王冠を被り、女性の顔をした男性の姿を取っているとも。召喚者には地位を与え、あらゆる知識を授けると言われています。クライマックスにもモチーフとなる像が出てきましたが特徴がそっくりだと分かります。完全に復活したペイモン、これからこの世はどうなってしまうのかというバッドエンドに近いストーリーでした。

 


意外と見逃しがちな怪しいシーンはまだまだあるのですが、考察はこの辺りで…

 


以上。

 

 

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