予告
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※2022年7月の配信状況になります。
最新の状況は各配信サイトをご確認下さい。
血筋の三部作
清水崇監督の2020年公開の『犬鳴村』、2021年公開の『樹海村』に続く2022年公開の恐怖の村シリーズ第3弾『牛首村』。清水崇監督はこれらを「血筋の三部作」と表現しており、今作で物語も一区切りということになります。
但し、三部作という表現は、物語が連続しているという意味では決してありません。
『犬鳴村』では、虐げられてきた村の者たちの悲劇的な過去を知り、その血筋の生き残りとして生きていくことを決意し、
『樹海村』では、「指切り」という行為によって結束を深め村の繁栄を行おうとした者達の「約束」が「呪い」へと変貌し、母と姉妹に降り掛かる悲劇を描きました。
『牛首村』ではどうだったでしょうか?順を追って説明します。
奏音と詩音
冒頭、廃ホテルにある異世界に繋がっているエレベーターの調査を行なった三人組(アッキーナ・ミツキ・詩音)の内の一人として、顔出しNGの為牛首を被って登場した詩音。イタズラでエレベーターに閉じ込められた詩音を乗せたままエレベーターは突如落下。二人が駆けつけるも、そこには詩音の姿はありませんでした。この時、行方不明になった詩音が、主人公奏音と双子だということが後々分かって行きます。また、非常に読み取り辛いですが、アッキーナは飛び降り自殺、ミツキは車に跳ねられて死亡しています。奏音と蓮を廃ホテルまで連れて行ってくれた山崎が見た、飛び降り続ける女と跳ねられた後姿を消した女はその二人というわけです。
双子は忌み子という風習
牛首村では、双子が生まれると忌み子として扱い、7歳までは神の子として扱われるものの、7歳を過ぎると人の子として扱い、双子の内の一人を神に返すという儀式があった。どうやって返すのか。そう、双子の内の一人に牛の首を被せ、穴に叩き落とすのである。つまり、冒頭の詩音がエレベーターに乗ったまま叩き落とされ、異世界(当時の捨て穴)に移動したのは、双子を忌み嫌う当時の村人の怨霊が、詩音を捨て穴へと誘導したと考えるべきでしょう。
妙子と綾子
実家で寝ようとした奏音の前に現れた牛首を被った謎の女性。その正体は、幼い頃、奏音を連れ去ろうとした綾子でした。奏音の祖母妙子と双子の綾子は不幸な少女でした。本来、妙子が忌み子として扱われるはずだったが、綾子が、妙子が被っていた牛首を代わりに被り遊んでいたところ、村の人が勘違いし穴に突き落としてしまったのである。そんな生きているはずのない綾子に連れ去られた奏音が幸い戻ってきたものの、その身に何か災いが起きるのではないかと心配した父親が、奏音を村から遠ざけていたのでした。
厄災と異世界への移動
山崎と合流した奏音達(蓮、詩音の彼氏・翔太)。エレベーターの反射で自分の首が牛首に写っていることに気付いた山崎は錯乱し、現れた無数の手によって無残に殺されてしまいます。自分達も同じ目に合うと感じた奏音達はバスに乗って帰ろうとしますが、その車内で現れた無数の双子の怨霊により蓮までも命を失ってしまいます。亡くなった蓮の手に握られた石の牛首と詩音の服のリボンを何かのメッセージだと考えた奏音と翔太は村に戻ることにしました。牛首地蔵の首だと知った奏音が祖母妙子の前で童歌を歌うと、妙子に突然強い力で腕を掴まれてしまいます。その腕を振り払おうとする翔太も含め、突然異世界へと飛ばされる二人。
待ち受ける結末
異世界は、過去の村の捨て穴でした。その当時の光景を目の当たりにした二人は、穴に落とされた綾子が、穴に落とされる子供を食らい生き延びるも、最終的に気味悪がった村人に殺されてしまったという事実を知るのでした。冒頭で異世界へと飛ばされてしまった詩音と合流し三人で綾子から逃げるも、今まで殺されてきた双子の亡霊までもが襲いかかってきます。崖に追い込まれた先で苦しみ出す詩音。人面瘡のような物が蠢き、詩音は綾子に乗っ取られてしまいます。そんな詩音と綾子を不憫に思った奏音は、「一人ぼっちじゃ可哀想」と抱き締め、崖から身を投げ出すと、それを追いかける翔太。気付けば廃ホテルのエレベーターの前に戻っていた奏音・翔太・詩音の三人。詩音と母親が牛首地蔵を修復し立ち去ろうとすると転げ落ちる石の牛首。そして、詩音の顔が綾子に変わっていきます。「ひとりぼっちじゃ可哀想でしょ?」と告げました。つまり、詩音(双子の内の一人)を当時の捨て穴に葬ろうとする村人の悪霊から、詩音を取り返そうとする奏音(双子の内の一人)が当時の捨て穴へと助けに行った結果、村の風習の犠牲者達を取り込んだ綾子は詩音という依り代を得て、現世へと回帰してしまったのである。今回もまた、まだまだ物語は終わっていないことを告げるバッドエンディングでした。
ex.
・女優デビュー初主演した主役のKōkiはキムタクの娘。
・今回もアッキーナがYouTuberとして登場(世界線が違うんでしょうか…)。
・廃ホテルへと向かう道中のバスに、『犬鳴村』の血筋の親子が登場。
・カフェのワンシーン、映画『ホムンクルス』より名越登場(役者は別)。
おわりに
『牛首村』は、双子の内の一人を忌み子として葬る風習から逃れようとする双子を描いた物語でした。また、『犬鳴トンネル』では村を、『樹海村』ではコトリバコを、『牛首村』では捨て穴が呪いの象徴として描かれていました。先祖、親子・姉妹、双子を取り巻く因果と血筋。血筋の三部作という名前に相応しい作品でした。
以上。
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