
未プレイの方は視聴後の閲覧を推奨します。
この記事は、現時点で確認できる確定情報を先に整理したうえで、主要な4つのエンディングそれぞれについて「なぜその結末に至るのか」を物語/因果の観点から考察します。ネタバレを含みますので未プレイの方はご注意ください。
要点まとめ
- エンディング数:本作には5つのエンディングが存在(うち1つはジョーク的なUFO系)。
- 最初に見られる結末:初回プレイではエンディング①が確定。
- 再プレイ要素:エンディング②〜④はNew Game+や特定条件(アイテム取得/赤いカプセルの扱い等)を満たして解放される。True Ending(静寂なる戎ヶ丘)は条件が特に厳しい。
- 物語の主軸:主人公(雛子)は20歳・花嫁として村に戻る設定。赤い薬、結婚・家族の圧力、村の「花の症状(=呪い)」が主要な因子として物語を動かす。
各エンディングの「結末に至る理由」——物語的考察
エンディング①:呪は雛の如く舞い戻る
要点(確定描写):雛子は20歳の花嫁。修から渡された赤いカプセル(薬)を摂取し、薬の影響で幻覚を見始める。幻覚内で意識が分裂し、現実では警察に追われる描写がある。
なぜこの結末になるのか(物語の流れ):
雛子は婚礼を経て村に戻った要因と、村・家族からの圧力が混在した状態にある。薬はその不安と抑圧を増幅させ、幻覚が現実と同期する形で彼女の精神を分断する。幻覚側では「花」に包まれる自分と向き合うが、現実側では逃走者としての雛子が存在する。
物語的には「薬がもたらす感覚の崩壊」が直接のトリガーで、雛子は外的に追われ、内的には自己の分裂を経験する。結果として、救済も理解も成立せず、逃亡/捕縛の線で終わる——これが初回プレイの既定路線として用意されている理由である。
エンディング②:狐の嫁入り
要点(確定描写):条件を満たすことで到達。雛子が母の痕跡(手記や証拠)を発見し、母の沈黙/行動の真意を理解する描写が含まれる。霊刀(特定のアイテム)を入手するルートが関連する。
なぜこの結末になるのか(物語の流れ):
雛子が母の内面を知り、「自分が受けるべき責務」として呪いを担うことを選ぶ。霊刀は“封じるための道具”として機能し、雛子は自らを器にして呪いを鎮める儀式に身を投じる。この受容は「犠牲をもって安寧を取り戻す」道であり、物語的には母の沈黙を継承する選択がそのまま結末化する。
エンディング③:狐その尾を濡らす
要点(確定描写):赤いカプセルを飲まない、あるいは霊刀を浄化しない等、二周目以降の特定条件で到達しやすい。雛子が村の枠を拒否する描写が濃い。
なぜこの結末になるのか(物語の流れ):
雛子は受け入れも拒絶もせず、自らの意思で呪いと向き合おうとする。霊刀や伝統に頼ることを否定し、自律的に解決を試みる行為が、呪いの解放(または暴走)を引き起こす。物語は「救済ではないが自律の獲得」を提示し、結果として村や関係者との断絶が残る形で幕を下ろす。
エンディング④:静寂なる戎ヶ丘
要点(確定描写):複数の条件(剣の浄化、赤いカプセルを使わない等)を満たすことで到達する、最も“物語的に完結”するルート。
なぜこの結末になるのか(物語の流れ):
雛子が母の過去、村の歴史、呪いの起源をすべて見通し、かつ自分の意思で和解を選ぶことで到達する。霊刀をただの刃として使うのではなく、記憶や痛みを鎮めるための儀式として作用させる——この能動的な理解と行為が、呪いを閉じる鍵になる。物語的には“赦しと再構築”がテーマ。
エンディング⑤(番外):怪奇!宇宙人大侵略!
シリーズ伝統のジョークエンド。物語の本線とは切り離された茶番的な結末で、ファン向けのおまけ扱い。登場人物達の隠し事が分かり面白い。
比較表:各エンディングの分岐条件と結末
| 観点 | ① 呪は雛の如く舞い戻る | ② 狐の嫁入り | ③ 狐その尾を濡らす | ④ 静寂なる戎ヶ丘 |
|---|---|---|---|---|
| 母(関係性) | 理解不足/拒絶が先行 | 母の意図を理解し継承 | 母も村も否定 | 母の過去を受け止め和解 |
| 薬(赤いカプセル) | 摂取→幻覚と分裂の媒介 | 通常は未使用 or 制御された扱い | 不使用 | 不使用 |
| その他 | 霊刀を未所持 | 霊刀を未所持・または霊刀の怨念を払う | 怨念の祓われていない霊刀を所持・胡座の布袋様を入手 | 霊刀の怨念を払う・胸飾りを奉納 |
| 結末の性質 | 分裂と追跡(不確定) | 内なる自分を押し殺す | 村の壊滅 | 赦しと再構築(最終解) |
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考察
赤いカプセル
雛子が偏頭痛を抑える目的で薬屋の息子であり幼なじみの修から独自に処方してもらっていた薬。使用すると痛みや恐怖が和らいだり、「内なる自分と対話できる」という。体質によっては危険とされていることも理解した上で修は雛子に与えている。結婚式当日に薬を過剰摂取したことで内なる自分の「自分の幸福は自分で決めたい」という思いが強まり暴走、花嫁姿で二人(父と母…?)を殺害し逃亡していることが警察の無線で分かる。そもそもこの赤いカプセルの原料は特定の水辺でしか育たない希少な植物「白黒草」からできており、そんなものが都合良く周りに生えるだろうか。恐らく黒幕の用意した物であるが後述する。ちなみに『サイレントヒル』でも登場する幻覚作用のある「ホワイトクローディア」という花との類似点が多々ある。
赤い女の子の人形
オープニングから度々登場する赤い女の子の人形。その正体は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)または付喪神(つくもがみ)ともいう。そもそも狐は神の使いだったが、時代の流れにより狐が神という認識を持たれ始めその場を追われたことで復権を狙っていた。つまり雛子が結婚を拒否し修と村から逃げた為、狐の力が弱まり宇迦之御魂神が完全復活。「狐その尾を濡らす」エンディングでは村が壊滅することとなった。結婚を拒否させようと劇中も何度も助言しており、赤いカプセルが雛子の元に届くきっかけを作ったのもおそらく宇迦之御魂神だろう。「静寂なる戎ヶ丘」では雛子が怨念を払った霊刀で宇迦之御魂神を打ち払い、狐の力を賜った内なるもう一人の雛子が狐の祖を退けた。
おわりに
『サイレントヒル f』は、単なるオカルト・ホラーではなく、家族・共同体・個人の選択が交錯する物語です。どのエンディングも「正しい答え」ではなく、「雛子がどのように自分と村の過去を受け止めたか」を映している。物語は結果として宇迦之御魂神と狐の祖を退け因果を断ち切ることで、雛子も寿幸も呪いから解放されることとなった。全てが終わったあと、雛子はどうやら寿幸と文通をしているようだが、その距離感は以前とは違い、二人で少しずつ隙間を埋めているようであり微笑ましい。
コメントで好きなエンディングをぜひぜひ教えて下さい!
以上。
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