真夜中に食べ物を与えて

映画のレビュー・考察・劇中の飲食物についてまとめていきます

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映画『グレムリン』『グレムリン2』制作秘話とトリビア特集

 

もし真夜中にこの映画を思い出したら、冷蔵庫を開けるのはやめたほうがいい。 『グレムリン』は、80年代スピルバーグ映画の中でも特に「かわいいのに怖い」という、奇妙なバランスを極めた作品だ。

モグワイ、ギズモ。 あの愛らしい瞳と柔らかそうな毛並みは、今見ても心を掴んで離さない。 しかし、撮影現場では“ギズモをどう動かすか”にスタッフ全員が頭を抱えていたという。

 

ギズモの誕生は「事故」だった

Gremlins | A Look Back At a Christmas Nightmare - Future of the Force

 

もともと脚本では、ギズモも途中でグレムリン化して暴れる予定だった。 だが、監督ジョー・ダンテは「観客が最後まで感情移入できる存在が必要だ」として設定を変更。 結果、ギズモは“純粋さの象徴”として生き残ることになった。

この判断がなければ、今の『グレムリン』は存在しなかったかもしれない。 ギズモが“守るべき存在”であることで、映画は単なるモンスター・コメディから“心の物語”へと変わったのだ。

 

撮影現場は、まるで怪物の巣窟だった

リメイク版『グレムリン』でCG処理されたギズモが登場か?|シネマトゥデイ

当時、CGは存在せず、すべて実物のアニマトロニクスで撮影された。 ギズモの内部には複雑な機械構造が組み込まれ、動かすのに4〜5人が必要だった。 ひとりが耳、ひとりが目、ひとりが口――まるで“人間が協力して魂を宿す”ような作業だったという。

しかしトラブルも多く、ギズモが撮影中に「まばたきできなくなる」「まるで生きてるみたいに震える」などのハプニングも。 その不完全さが、逆に“生々しい恐怖”を生み出していた。

 

封印されたシーン:「ギズモの苦しみ」

いじめられるギズモがかわいい - 小さな世界

初期脚本では、ギズモがグレムリンたちに拷問されるという過激な描写も存在した。 スピルバーグは「この映画は残酷さよりもファンタジーであるべき」としてそのシーンを削除。 こうして“ホラーなのに優しい映画”という、独特のバランスが完成した。

――もし、あのまま残酷路線を貫いていたら? おそらく『グレムリン』はカルトホラーとして一部のファンにしか愛されなかっただろう。

 

グッズ化は「悪魔的な成功」

グレムリン』ギズモの“もふもふ”を、力いっぱい抱きしめたい!【豆魚雷の「遊星からの物欲X」】(画像61/82) | 最新の映画ニュースならMOVIE  WALKER PRESS

公開直後、ギズモのぬいぐるみが世界中で爆発的に売れた。 一時は本編よりもグッズの売上が話題になったほど。 今でもAmazonで限定リバイバル版が手に入る。

 

あの夜の“恐ろしくてかわいい”時間を、もう一度手元で再生してみてほしい。

 

『グレムリン2』は“メタ映画”の先駆けだった

金曜ロードショー放送】「グレムリン」見どころ紹介 主人公の強すぎる母、ギズモを動かした特撮技術など : 映画ニュース - 映画.com

1990年に公開された『グレムリン2 新・種・誕・生!』は、前作の正統続編――のようでいて、実はまったく違う。 舞台はハイテク企業の高層ビル。だがこの映画の本質は、“ハリウッド自身を笑い飛ばすブラックコメディ”にある。

監督ジョー・ダンテは、スタジオから「もっと派手に」「もっとかわいく」と要求され続けた。 そこで彼が取った行動は、驚くほど皮肉なものだった。 ――彼はその要求を、映画の中で“ネタ”にしてしまったのだ。

スクリーンの中では、グレムリンたちが映画館を乗っ取り、フィルムを破壊する。 観客を混乱させるそのメタ演出は、のちの『デッドプール』や『メタルギアソリッド』にも通じる“第四の壁破壊”の始祖といえる。

 

笑いの裏に潜む、“創作の狂気”

音楽がキャッチーな映画「グレムリン」の感想とシリーズまとめ | 自宅で映画感想Review-モレロBLOG-

『グレムリン2』はカオスだ。 遺伝子操作で蜘蛛グレムリン、知性を持つブレイン・グレムリン、果てはヴァンパイア風まで登場する。 しかしその暴走の裏には、「制約を外されたクリエイターの暴力的自由」がある。

ダンテは言う――「続編を作るなら、前作を壊すことから始めなければならない」。 その言葉通り、『グレムリン2』は“自己破壊の芸術”として完成した。

つまりこの映画は、ただの怪物映画ではない。 創作と商業、純粋さと皮肉、その狭間で生まれた“異形のハリウッド映画”なのだ。

 

ギズモは、今でも“あの時のまま”

グレムリン2/新・種・誕・生||洋画専門チャンネル ザ・シネマ

続編ではアクションヒーロー風に進化したギズモ。 小さな体で弓を引く姿は、80年代を象徴する“希望の象徴”でもある。 どんなに混沌とした時代でも、彼はただ前を向く。

いま、ギズモの姿を見ると不思議な安心感がある。 世界がどれだけ変わっても、“優しさ”だけは変わらない。 それが『グレムリン』シリーズの本当のテーマなのかもしれない。

 

もう一度、あの夜の魔法を

午後のロードショー「グレムリン」|さちのか

ギズモの声、雨の音、深夜のモグワイ。 懐かしさと少しの怖さを同時に味わえる映画は、いまの時代にこそ必要だ。

もし、久しぶりに“あの頃のワクワク”を取り戻したいなら――。

 

真夜中に食べ物を与えてはいけない――。 でも、懐かしさならいくらでも与えていい。 映画『グレムリン』は、その証明だ。

 

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