
1981年、アメリカで実際に「悪魔のせいなら無罪」という言葉が現実の法廷で語られた。
被告アーネ・シャイアン・ジョンソンは、悪魔憑依を理由に殺人の責任を否定したが、その主張は裁判で退けられる。
本稿では、当時の裁判資料や報道、さらにNetflixドキュメンタリー「The Devil on Trial」をもとに、宗教と司法がぶつかったこの事件の真相を考察する。
1981年に実際に起きた「悪魔のせいなら無罪」裁判は、単なる都市伝説ではなく、アメリカ・コネチカット州で実際に争われた殺人事件だった。被告アーネ・シャイアン・ジョンソンは、交際相手の弟に取り憑いた“悪魔”に影響されて殺人を犯したと主張したが、裁判所はこの弁護を正式には認めなかった。弁護側は心神喪失ではなく、悪魔憑依を理由とした初の弁護として注目を集めたが、裁判官は「法廷は宗教的問題を判断できない」として却下している。
この事件は後に「The Conjuring(死霊館)」シリーズの元ネタとしても知られ、ウォーレン夫妻の調査記録を通じて世界的に広まった。だが、実際の裁判資料や報道を読み解くと、当時の報道には「超常現象」よりも「メディアが作り上げた宗教的センセーショナルさ」への警戒が色濃くにじむ。つまり、法廷では“悪魔”よりも“人間の責任能力”が中心テーマだったのだ。
この裁判を今改めて見直すと、アメリカ社会が抱える「信仰と司法の線引き」が浮かび上がる。当時はエクソシズムや悪魔祓いに関する報道が過熱し、ウォーレン夫妻が行った儀式も広く知られるようになったが、司法の場では一切その証拠が採用されなかった。つまり、法的には悪魔の存在は「証明不能」とされた一方、文化的には“信じる人々の現実”として根を下ろしていった。
2023年にNetflixで配信されたドキュメンタリー「The Devil on Trial」では、当事者家族や関係者の新証言を通して、当時語られなかった葛藤やメディアの影響力が再検証されている。証言の食い違いや、ウォーレン夫妻による“物語化”の可能性などが指摘され、真実の輪郭はより複雑なものとなった。
このように、アーネ・ジョンソン事件は「悪魔憑依事件」として語られる一方で、法的には「宗教と司法の交錯を映す鏡」として今なお議論の対象であり続けている。人はどこまで信仰を理由に責任を逃れられるのか。そして、法はどこまで“信じる心”に踏み込むべきなのか。この事件が残した問いは、今もなお決着を見ていない。
アーネ・シャイアン・ジョンソン裁判(悪魔のせいなら無罪)に関する実在の資料リンク一覧
UVA School of Law – Arne Cheyenne Johnson
法廷スケッチと事件概要をまとめた法学アーカイブ
Arne Cheyenne Johnson | Archives & Special Collections
Wikipedia – Trial of Arne Cheyenne Johnson
事件の年表、参考文献、出典リンクが網羅されている
Trial of Arne Cheyenne Johnson - Wikipedia
TIME – The True Story Behind the Netflix Documentary “The Devil on Trial”
Netflix版の真相を取材した最新記事。事実と演出の差に注目
The True Story Behind 'The Devil on Trial' | TIME
UPI – Judge throws out ‘demon defense’ (1981年10月28日記事)
「悪魔憑依の弁護を裁判官が却下した」と報じた当時の一次報道
A judge Wednesday threw out the 'demon defense' of... - UPI Archives
Washington Post – By Demons Possessed(1981年9月13日)
裁判の背景や証言を詳しく報じた長文記事
By Demons Possessed - The Washington Post
The News-Times – Did the devil make him do it?
事件を扱った地元紙の再検証。地域視点での報道
https://www.newstimes.com/local/article/Did-the-devil-make-him-do-it-A-real-life-murder-16214951.php
AP News – Arne Cheyenne Johnson
AP通信による事件概要とその後の追跡報道
Vermont Law Review – The Devil Made Me Do It: The Viability of Demonic Possession as a Murder Defense
「悪魔憑依が殺人の弁護として成立し得るか」を法的に検証した学術論文
Global News – Netflix documentary reexamines the 1981 ‘Devil Made Me Do It’ murder case
現代のドキュメンタリー取材で浮かび上がった新証言まとめ
以上。
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