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『禁じられた遊び』ラストの意味を考察|死者はなぜ蘇ったのか?落雷と“母の呪い”を徹底解説

『リング』の中田秀夫監督によるJホラー作品。
公開当時はグロ描写や不気味な演出が話題になったが、実はかなり伏線の多い“構造型ホラー”でもある。

特にラストでは、

「結局、誰が怪異の正体だったのか?」
「春翔はなぜ蘇ったのか?」
「最後は解決したのか?」

と混乱した人も多かったはずだ。

今回は、物語の展開を整理しながら、ラストの意味を考察していく。

 

 

映画『禁じられた遊び』作品情報

作品名:禁じられた遊び
公開日:2023年9月8日
監督:中田秀夫
原作:禁じられた遊び(清水カルマ)
上映時間:110分

主なキャスト:

橋本環奈(倉沢比呂子役)
重岡大毅(伊原直人役)
ファーストサマーウイカ(伊原美雪役)
・シソンヌ 長谷川忍(大門謙信役)
堀田真由(野田麻耶役)

『禁じられた遊び』の始まり|“エロイムエッサイム”が全ての発端

映像ディレクターの倉沢比呂子は、かつての同僚だった伊原直人と再会する。

直人は妻・美雪、息子・春翔と幸せな家庭を築いていた。

しかしある日、春翔はトカゲの尻尾を見つけ、

「埋めたら元に戻るの?」

と父に質問。

直人は軽い冗談のつもりで、

「エロイムエッサイムって唱えたら生き返る」

と教えてしまう。

この何気ない一言が、後の惨劇へ繋がっていく。

7年前の怪異|美雪の“生き霊”

実は比呂子は7年前、直人に好意を抱いていた。

しかし直人に近づこうとするたび、美雪の異常な気配に襲われていた。

比呂子の部屋へ現れる美雪。
突然鳴る電話。
「絶対に許さない」と迫る不気味な存在。

当初は“嫉妬深い妻の怨念”のように見える。

しかし後半で分かるのは、これは死霊ではなく“生き霊”だったという事実だ。

つまり美雪は、生きている頃から既に怪異だったのである。

美雪はなぜ怪異になったのか

前半では、

「直人への異常な愛情が、美雪を怪異にした」

ように見える。

実際、

・常に直人を監視する
・比呂子へ強い嫉妬を向ける
・周囲へ危害を加える

など、執着による生き霊ホラーとして描かれている。

しかし映画後半、物語は大きく方向転換する。

美雪の生い立ちが判明する

比呂子は、美雪が育った児童養護施設を訪れる。

そこで明かされたのは、美雪の異常な過去だった。

・スプーンを何度も曲げる
・いじめっ子を呪い殺した疑惑
・施設内でも恐れられていた
・母親も同じ能力を持っていた

さらに、美雪の母親は宗教団体の教祖だったことも判明する。

ここで初めて、

“美雪は執着で怪異化したのではなく、元々超常的な力を持っていた”

と分かる。

つまり怪異の原因は、
単なる愛情ではない。

“血筋によって受け継がれた能力”

だったのである。

大門の伏線「本当に怖いのは蘇った者」

比呂子は霊能力者・大門謙信を訪れる。

最初は胡散臭く見える大門だが、実際には本物の能力者だった。

そんな彼が語る重要なセリフがある。

「この世に死者の霊なんていない」
「本当に恐ろしいのは、一度死んで蘇った者だ」

この時点では、美雪を指しているように見える。

しかしラストを見ると、この言葉は全て“春翔”への伏線だったと分かる。

美雪の死後も怪異は終わらなかった

美雪が完全復活した後、比呂子と直人は彼女から逃げ回る。

最終的に、美雪は電車に轢かれ肉体を失う。

これで事件は終わったように見えた。

しかし、終わっていなかった。

比呂子は、

「美雪の能力は遺伝」
「春翔も能力を受け継いでいる可能性がある」

と知る。

直人の家へ戻ると、そこでは春翔が美雪の肉片を集めていた。

ここで観客はようやく気付く。

美雪の死後に起きていた怪異現象。
大門や麻耶への憑依。
周囲の異常現象。

その全てが、“春翔の仕業”だったのである。

春翔こそ“本当の怪異”だった

ここが『禁じられた遊び』最大のどんでん返し。

観客はずっと、

「美雪の呪い」

だと思わされていた。

しかし本当に危険だったのは、

・美雪の能力を受け継ぎ
・一度死んで蘇り
・死者蘇生を成功させた

春翔だった。

つまり春翔は単なる被害者の子供ではない。

“生と死の境界を越えた存在”

へ変化していたのである。

だから大門の、

「蘇った者が最も危険」

という言葉が、ラストで完全に伏線回収される。

落雷は何を意味していたのか

作中で重要なのが“落雷”。

春翔は事故後、雷が落ちた瞬間に蘇生した。

そしてラストでも再び雷が落ち、春翔は死亡する。

一見すると、

「命を与えたものに命を奪われた」

皮肉にも見える。

しかし映画の不穏な終わり方を考えると、単なる天罰とは思えない。

むしろ落雷は、

・生と死の境界
・人間と怪異の境界
・現実と異界の境界

を崩す“再誕の象徴”として描かれていたようにも見える。

つまり春翔は、雷によって怪異として完成していった可能性がある。

ラストで直人が儀式を始めた意味

数か月後。

直人は庭で“エロイムエッサイム”を唱えていた。

しかも埋めていたのは、春翔の指。

ここが本作最大の後味の悪さだ。

直人には超能力はない。

しかし彼もまた、

「息子を取り戻したい」

という執着に飲み込まれていた。

つまりこの映画で感染していくのは、能力そのものではない。

“死者を蘇らせたいという感情”

そのものが、人間を狂わせていくのである。

『禁じられた遊び』ラストの意味を考察

『禁じられた遊び』は、単なる死者蘇生ホラーではない。

本当に描かれているのは、

“愛する者を失った人間が、どこまで禁忌に踏み込むのか”

という恐怖だ。

前半では、美雪の異常な愛情が怪異の原因に見える。

しかし後半で、

・能力は遺伝だった
・怪異の中心は春翔だった
・本当に恐ろしいのは蘇った者だった

と構造が反転する。

そして最後には直人までもが、“蘇生”へ手を伸ばしてしまう。

つまり『禁じられた遊び』の恐怖とは、
幽霊ではない。

“死を受け入れられない人間の執着”

そのものだったのである。

原作小説との違い

禁じられた遊び の原作小説は、映画版よりも“心理描写”がかなり細かい。

特に映画ではテンポ重視で省略されていた、

・美雪の異常性
・直人への執着
・春翔の不気味さ
・「死者蘇生」に取り憑かれていく過程

などが、原作ではじっくり描かれている。

映画では後半一気に明かされる“能力の遺伝”についても、原作ではより不気味に伏線が積み重ねられているため、

「実は最初から春翔が危険だった」

ことに気付きやすい構造になっている。

また映画版ではグロテスク演出が強められていたが、原作は“静かな気味悪さ”が中心。

そのため、
映画で気になった人ほど、原作を読むとさらに後味の悪さを味わえる作品になっている。

 

原作『禁じられた遊び』シリーズ作品まとめ

禁じられた遊び は、単発作品ではなく、怨霊・美雪を中心に展開するホラーシリーズとして続いている。

実は映画で描かれた“死者蘇生”や“呪いの連鎖”は、シリーズ全体へ広がっていく設定になっている。

『禁じられた遊び』(2019年)

シリーズ第1作。

交通事故で亡くなった母親を生き返らせるため、幼い息子が「ママの指」を庭に埋め、“エロイムエッサイム”の呪文を唱え始める。

しかしその執念が、“最凶の怨霊モンスター”とも言える美雪を呼び覚ましてしまう。

映画版の原作にあたる作品であり、シリーズの全てはここから始まる。

カケラ女(2021年)

シリーズ第2作。

SNS上で噂される都市伝説「カケラ女」を描くホラー作品。

一見すると独立した怪談に見えるが、物語が進むにつれ、『禁じられた遊び』と繋がる“忌まわしい因縁”や、美雪の影が浮かび上がってくる。

“呪いが感染していく恐怖”が強調された一作。

カケラ女 禁じられた遊びシリーズ

カケラ女 禁じられた遊びシリーズ

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忌少女(2022年)

シリーズの前日譚。

舞台は1999年。
後に最凶の怨霊となる美雪の中学生時代が描かれる。

類まれな美貌と異常な能力を持つ少女・美雪が、壮絶ないじめによって狂気へ堕ちていく過程が描かれており、美雪という存在の“原点”が分かる作品になっている。

映画だけでは分からなかった、美雪の異常性や能力の背景を知りたい人には特におすすめ。

禁じられた遊び ふたたび(2023年)

シリーズ正統続編にして集大成。

前作から20年後を舞台に、比呂子たちの娘・日菜多が主人公となる。

ある少女が再び“干からびた指”を庭に埋めたことで、美雪の怨念が復活。

さらに『カケラ女』『忌少女』の登場人物や設定も交錯し、シリーズ全体の伏線が繋がっていく。

『禁じられた遊び』のラストに感じた“不穏な後味”が、本当に終わっていなかったことが分かる一作でもある。

禁じられた遊び ふたたび 禁じられた遊びシリーズ

 

以上。
 

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