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ホラー映画『ドールハウス』のネタバレあらすじ解説と結末を考察【衝撃のラスト】

 

 

映画『ドールハウス』のネタバレなしの紹介記事はこちら

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あらすじ

 

娘の死と人形との出会い

主人公の佳恵とその夫・忠彦は、5歳の娘・芽衣を事故で失う。不慮の事故により、日常が一変し、佳恵は深い喪失と苦しみに襲われる。

心の傷を抱える佳恵はカウンセリングを受ける日々を送る。偶然辿り着いた骨董市で娘に似た古い幼女人形を見つけ、衝動的に購入する。彼女はその人形を娘のように扱い、世話を始めることで一時的な心の安らぎを取り戻す。

 

 

新しい命

忠彦も始めの内は気味悪がっていたがかつての笑顔を見せる佳恵の姿を見て懸命にサポートする。そんな中、佳恵と忠彦の間に第二子の娘・真衣が生まれる。かつて心の支えであった人形への関心は次第に薄れていったが、泣いていた真衣を見て人形を思い出す。おもちゃの山から人形を見つけると真衣の隣に寂しくないようにそっと置いたが、人形の髪の毛が真衣の首に巻き付くという現象が起きた。薄気味が悪くなった夫婦はクローゼットの奥に人形を仕舞うのだった。

 

平穏の崩壊 ― 真衣と人形の再会

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真衣が成長し5歳を迎えたある日、押入れにあった人形を見つけ出して遊び始める。人形の名前はアヤちゃんで、人形が真衣に教えてくれたのだと言う。幼稚園で、首吊りや子供が釜茹でにされている絵を描く真衣の不審な行動が目立つようになり、佳恵は絵と人形をゴミに出す。だが、管理人に見つかり「分別するように」と人形が返ってきてしまうのだった。

 

ある日、真衣の体にひっかき傷が見つかる。大人たちは母・佳恵の虐待を疑う。忠彦は佳恵にゆっくり休むように伝え、真衣を母親の敏子に人形と一緒に預ける。佳恵からあの人形だけは駄目と何度も言われた忠彦は自分でも人形について調べてみて以下のことが分かった。

 

・人形が入っていた箱に書かれていた名前から有名な人形師・安本浩吉による作品らしい

・娘に似せて作った人形は現在行方不明

・礼という名前らしいが、礼はアヤとも読む。

 

忠彦は急いで母親の敏子の元に向かう。一方その頃、敏子に不可解な現象が次々と起きていた。一時的に真衣が行方不明になるが、橋の上で豹変した真依に敏子は肩を噛まれる。その一部始終は防犯カメラが捉えており、地元の警察である山本は敏子から聞き取りを行うのだった。

 

 

“人形の正体” と “呪い/怨念” の発覚

人形の口から子供の歯のような物が出てきたことから、忠彦は病院に内緒で人形をCTで撮る。人形の中には子供の骨がしっかりと写っていた。人形はただの玩具ではなく、過去に悲劇と呪いを抱えた存在であることが判明する。供養やお祓い、警察の山本の押収など物理的な処分を試みても、人形は「捨てても戻ってくる」、封印しても呪いは消えない。人形と家族の関係は簡単に断ち切れない。

 

恐怖と絶望の終わり

ドールハウス:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画

佳恵たちは人形の呪いを断つ方法を探し、呪禁(じゅごん)師・神田の力を借りて一時的な封印を施すことに成功する。但し、負傷した神田の代わりに夫婦はアヤの母親が眠る島を目指す。島でアヤの母親の墓を見つけ人形を納めるが、佳恵が携帯していた芽衣の写真が穴に落ちてしまう。写真を拾い出そうとするが、人形が佳恵を引き摺り込もうとする。なんとか難を逃れた忠彦と佳恵は「終わった」と安堵するのだった。


場面は変わり、家の中でじゃれつく真衣をたしなめる佳恵。ふと忠彦が家の中がいつもと違うことに気付く。佳恵にしがみ付くそれは真衣ではなかった。忠彦は事件の起きた洗濯機の中に芽衣が閉じ込められているのを見つけ解放する。芽衣は、佳恵にしがみ付くアヤの手を引き消える。「待って」と懇願する佳恵を忠彦は止める。「ありがとう、芽衣」と佳恵と芽衣と忠彦が3人で手を繋ぎ笑顔で島を渡っている姿が映し出されるのだった。


佳恵と忠彦と真衣が食卓を囲んでいる。食事を済ませ外出する三人と呪禁師・神田と忠彦の母・敏子がエレベーターで入れ違う。佳恵と忠彦が連れているのは真衣ではなくアヤだった。車の中に置き去りにされている真衣は泣き叫ぶのだった。

 

 

考察

 

ラストを紐解く

アヤは身体が弱く、それを不憫に思った母は娘のアヤと一緒に無理心中を図った。しかし、縄の強度の関係からアヤだけ亡くなってしまう。程なくして母は病で亡くなり、父はアヤを釜茹でにして骨を抽出、精巧なアヤの人形を作り母の墓に埋めた。それを金品目的の墓荒らしの類が掘り起こし持ち去ったのだろうという憶測で佳恵と忠彦は墓に返そうとした。しかし、実際のところは母は常日頃からアヤに虐待をしていたことが分かり、当然同じ墓など入りたいわけがなく、自らそこから出ただろうことが分かる。クライマックスではアヤは佳恵と忠彦に何度も幻覚を見せており、佳恵が自分の髪を切り落とし短髪になったはずなのに現実世界では長髪なのでその時点から既に術中だった可能性が高い。島から本土に戻る佳恵と芽衣と忠彦のシーンは過去の回想ではなく、二人の思い描いたイメージでもなく、幻覚真っ最中でアヤを連れて渡っているということならめちゃくちゃホラーである。

 

本作は表面的には“人形ホラー”として描かれるが、核心は「家族の喪失とその後遺症」にある。以下では主要な読みを整理する。

 

1. 人形は喪失から逃れるための依代である

佳恵が人形を娘の代替として扱う描写は、死別を受け入れられない母親の自己防衛を具現化している。人形が繰り返し戻ってくるように見える現象は、超常現象というより佳恵の心が人形に執着していく過程を映像化したものと読める。

 

2. 呪いの形式は“継承”のメタファーである

人形に宿るとされる過去の負の記憶や怨念は、単なる怪異ではなく「親から子へ伝わる歪んだ愛情や痛み」を示す装置だ。芽衣→佳恵→真衣へと続く執着の連鎖こそが物語の本質であり、ホラー的仕掛けはそのための手段になっている。

 

3. 第二子の誕生は再生ではなく過去の再来を呼ぶ

真衣の誕生が一時的な救いに見える一方で、新しい命は過去のトラウマを再活性化する契機ともなる。真衣に起きる不可解な傷や行動は、母の内面化した恐怖と罪悪感が外部化した結果と解釈できる。

 

4. “外部の悪”を作ることで精神を保つ構造

佳恵が「人形のせいだ」と信じ続けるのは、自分の内的責任や後悔と直面することを避けるための心理的メカニズムだ。物理的に人形を処分しても問題が解消しないのは、原因が外部ではなく内面にあることを示す。

 

5. ラストの余韻――恐怖は終わらない

物語の終わり方は決して完全な救済を与えず、喪失の傷が残り続けることを示唆する。これはホラーとしての不穏さであると同時に、喪失からの回復が単純な行動や処理で済まないことを示すリアルな結論でもある。

 

まとめ

『ドールハウス』は、人形というモチーフを通して「喪失」「依存」「母性の歪み」「代替の危険性」を描いた家族心理劇である。怪異の描写は観客に恐怖を与えるが、真に怖いのは超常現象そのものではなく、喪失と向き合えない人間の心のほうだ。

 

以上。

 

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