予告
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監督
今回紹介するのは、奇才ジョーダン・ピール監督のホラー映画『Us(2019)』。
ジョーダン・ピール監督といえば『ゲット・アウト(2017)』で、映画批評サイトの批評家から99%の支持率を勝ち取ったことが印象的です。作品の知名度もかなり高いですね。
何が起こっているか全く理解ができず、設定にどんどん引き込まれていく演出はさすがとしか言いようがないです!
主演
子供の頃、自分にそっくりな少女に出会ったトラウマで失語症になった主役アデレード・ウィルソン役は、ルピタ・ニョンゴさん。『ブラックパンサー』ティ・チャラの元恋人ナキア役でお馴染みですね。意外に知られていないのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のマズ・カナタ役。
個人的に注目しているのは、友人のキティ・タイラー役を演じるエリザベス・モスさん。登場作品や役柄によって別人に見える程の演技力には脱帽です。おすすめの作品は主演を務める『透明人間(2020)』。
物語
サンタクルーズに両親と一緒に遊びにやってきた少女アデレード・ウィルソンは、一人はぐれビーチにあるミラーハウスに迷い込んでしまう。そこで見たのは自分にそっくりの別人。その時のトラウマで失語症になってしまう。
時は流れ、夫と二人の子供たちと幸せな家庭を築いたアデレード。そんなある日、夏休みに再びサンタクルーズを訪れることに。偶然とは思えない出来事が立て続けに起きたことで不安になり帰りたいと願うアデレードに、夫は言った。「大丈夫だ。もしそっくりの人間が現れたら俺が殴り倒してやる。」そんな時、停電と共に現れたのは自分たち家族にそっくりな四人。拭えない不安は形となってアデレードたちに降り掛かるのであった。
感想
気味の悪い偶然が続き不安になる妻、心配はしてくれるものの頼りにならない夫、目を離すといなくなる息子、全く気にもかけない姉。もうこの時点でストレスを感じる構図なんですが、だからこそ家族といえど当てにはできない恐怖をひしひしと感じるし、大人の頼りなさ全開が続くので恐怖と不安でいっぱいになる。嫌なら見なければいいだけなんだけど、決して目が離せない。ここがジョーダン・ピール監督の持ち味なんじゃないかなと思いました。緊張感を感じたい方にぜひおすすめしたい一作。
考察
①自分にそっくりの人間
息子のジェイソンが、自分にそっくりのレッドに連れ去られたアデレードは、エスカレーターを降りて白い廊下の地下施設にやってきます。ここでレッドから告げられた真実、それは、そっくりの人間たちはアメリカ政府によって作られたクローン人間"テザード"だったということです。クローン人間が作れることを知ったアメリカ政府は、クローンを作っては、地下施設に収容していきました。但し、クローン人間を作っても魂は一つのようで、地上と地下で同じ動きをしていることが分かります。
②話せる人間と話せない人間
無事ジェイソンを助け出したアデレードは車の中で全てを思い出します。ミラーハウスで遭遇した自分は、本当はあの時地下にいた"テザード"であり、地上にいた自分を地下に幽閉したという事実を…。つまり、主人公のアデレードは失語症だったのではなく"テザード"だったから言葉が話せなかった。反対に、レッドは元々人間だったから唯一言葉が話せた。全てを思い出したアデレードがどのような行動を起こすかは全く分かりませんが、"テザード"たちが、手と手を繋ぐ"ハンズ・クロス・アメリカ"を行い山で長い列を成しているラストを見ると、まだまだ問題は収束していないことが分かります。
③ジェイソン
物語の流れから、アデレードが"テザード"だったことは分かりました。夫のゲイブは恐らく人間だと思われますが、息子のジェイソン、娘のゾーラはどうでしょうか。息子のジェイソンについて少し引っ掛かった物語のワンシーンを紹介します。
・序盤の車内で音楽を掛けるシーンでアデレードとジェイソンが音楽のリズムに合っていない
・ビーチのシーンで、友人キティの娘の双子に、ジェイソンのことを「コミュニケーションが苦手」と説明するアデレード。
・去年できていたはずの手品ができない
・"テザード"たちが持っているハサミを、ジェイソンのそっくりプルートーだけが持っていない
・プルートーの顔の大火傷と、去年の火のマジックの因果関係。
・クライマックスでジェイソンが、アデレードが"テザード"であることに気付いているような素振りを見せる
ジェイソンとプルートーが既に入れ替わっている確証はないですが、考えれば考えるほど不安になってくるワンシーンが多い印象を受けました。疾走感のあるホラー/スリラー物だったからこそ、観終わった後、ゆっくりと考察できるのも醍醐味の一つかもしれませんね。
以上。