あらすじ
ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家へ招待される。若干の不安とは裏腹に、過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚える。
予告
配信リンク
まだ『ゲット・アウト』を観ていない方は…
・U-NEXT(レンタル:無料)
・Amazonプライム(レンタル:¥400)
Amazon.co.jp: ゲット・アウト(字幕版)を観る | Prime Video
※2022年11月の配信状況になります。
最新の状況は各配信サイトをご確認下さい。
異色のホラー映画と一躍有名となったジョーダン・ピール監督
主にコメディアンや俳優として活動していたジョーダン・ピールは、映画の脚本や制作に携わることもありましたが、『ゲット・アウト』が初監督・脚本作品となります。低予算にも関わらず口コミで爆発的ヒットを呼んだ本作は、最終的に彼にアカデミー脚本賞を与えることとなります。日常に潜む不快感や違和感を巧みに利用した作品の魅力と劇中に散りばめられた伏線を考察していきます。
1日目:ご両親への挨拶
プロカメラマンである黒人男性のクリス・ワシントンと白人女性であるローズ・アーミテージは仲睦まじいカップル。そんなある日、ローズからの提案でローズの両親に挨拶に行こうという話になるが、クリスは気乗りしません。自分が黒人であると伝えていないからです。そんなクリスに心配することはないと伝えるローズ。そんなクリスの不安を掻き消すように歓迎ムードのアーミテージ家。神経外科医である父のディーンと催眠療法の専門医である母ミッシーは、オバマ大統領の支持者だとクリスを安心させてくれます。しかし、深夜に、全力疾走する黒人男性の庭師ウォルター、じっと見つめてくる黒人女性の使用人ジョージナの不可解な態度を目にしたクリスの前に現れたミッシーが突然催眠術を掛けられ深い眠りに落ちてしまいます。
ミッシー・・・ローズの母。催眠療法の専門医。
ジェレミー・・・ローズの弟。
ウォルター・・・黒人の庭師。
ジョージナ・・・黒人の使用人。
2日目表:親睦会
翌朝、目を覚ましたクリスに、ミッシーは禁煙できるようにしたと言います。クリスの親睦会を兼ねたパーティーが始まり、招待客が集まります。話し掛けてくる招待客の多くが白人であり、自分への態度からここでもクリスは違和感を感じます。また、盲目の白人ジムから目を羨ましがられます。次に出会ったのは、黒人のローガンと白人の年上女性の夫婦。不可解な出来事の数々をメールで相談していた友人ロッドに現場の写真を求められたクリスは、ローガンの写真を撮ると、状況は一変。鼻血を出しながら怒るローガンから「Get Out!(ここから出て行け!)」と怒鳴られてしまいます。部屋に戻ったクリスは、先程撮ったローガンの写真を友人のロッドに送ります。するとロッドから「行方不明のアンドレでは?」と返信が…。一方その頃、パーティー会場では、クリスの顔写真を用いてオークションが開かれていました。落札したのは盲目のジム。クリスは違和感の数々から遂にアーミテージ家から逃げることを決意しますが、恋人のローズに車の鍵を奪われ、弟のジェレミーに襲われ、意識を失っていまいます。
2日目裏:陰謀
椅子に縛り付けられた状態で目を覚ますクリス。そこで明かされたのは、ローズが黒人の恋人を作り、ミッシーが催眠術を掛け、ディーンが黒人オークションを開催し、落札者の白人の脳を、黒人に移植するという秘密の組織アーミテージ家の恐ろしい犯行でした。ちなみにオープニングで襲われていたのがローガンを名乗っていた行方不明のアンドレ。弟のジェレミーが人攫い役を担当することもあるようです。どうやら、聡明な白人の脳を肉体的に優れる黒人に移植することによって永遠の生命が得られるという手術のようだ。なんとか催眠を防いだクリスはアーミテージ家を振り切り、屋敷の外へ。道中、使用人のジョージナとウォルターも襲い掛かってきますが、クリスにカメラのフラッシュを切られたウォルターが突然ジョージナを殺害し、自らの命も断ちます。警察が駆けつけるも、クリスが犯行を疑われますが、友人のロッドが合流し事無きを得ます。街を去るクリスとロッドを乗せたパトカーの後ろ姿を、ローズは静かに見つめているところで物語は終わる。
脳基移植の犠牲者たち
劇中で確認できる人物は少なくとも3人います。アンドレ(ローガン)、ジョージナ、ウォルターの黒人3人です。ちなみに脳を移植した後、完全に黒人の意識が消え去るわけではなくぼんやりと残るようで、カメラのフラッシュによって一時的に表に黒人の意識が出てくることもあるようです。つまり、ローガンの「出て行け!」は、黒人アンドレの「(俺の肉体から)出て行け!」という魂の叫びであり、クリスの「白人に囲まれて嫌な思いをしていないか?」という問いに対して、使用人ジョージナが「ノー!ノー!ノー!」と笑顔で涙を流していたのは、涙を流しているのは黒人、「(表に出てくるな)ノー!ノー!ノー!」と笑顔で対応していたのが白人ということになる。ちなみにクライマックスでは、カメラのフラッシュによって、ウォルターの黒人意識が復活した為、味方をしてくれたこととなる。
真相に気付くと、全ての辻褄が合い、違和感の正体が判明する。そんなよく出来た映画だったと思います。
以上。
ブログランキング参加中です!
1日1回ポチッと応援よろしくお願いします♪