あらすじ
詩人と彼の若い妻が、ある訪問者たちを招き入れたことから不穏な出来事が次々と起こり、平和な家庭は地獄のような悪夢と化していく。ジェニファー・ローレンスを主演に迎えたダーレン・アロノフスキー監督による、目が離せない衝撃のサイコスリラー。
予告
配信リンク
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日本で公開中止となった問題作
第74回ベネチア国際映画祭で公開され賛否両論に分かれた洋画『Mother!(マザー!)』。2018年2月に日本で公開される予定も白紙の状態になりました。位置付けとしては、スリラーやホラーとなりがちな本作品ですが、そもそも予備知識がない状態で視聴しても困惑するばかりで、意味不明と感じるのも仕方ないのでは…?と思いました。実際、私自身も初視聴時はパーソナルスペースを踏み躙られるイライラが募るばかりでした。良くも悪くもこういった独特の雰囲気を醸し出すのが得意なのはダーレン・アロノフスキー監督の持ち味とも言えます。
極めて宗教的作品である
本作が日本で中々受け入れられないのは当然のことである。そもそも物語は聖書をベースにしており、内容を知らなければ到底理解出来ない(筆者もカインとアベルが登場するまで全くピンと来なかった)。
夫は創造主であり神、妻は母なる大地である地球を指している。
夫は詩人であるがスランプで書けなくなっているようだ。
妻は、家事というよりは家の修復に勤しんでいる。
最初の訪問者
そこに訪れる夫婦(アダムとイブ)。アダムの脇腹には大きな傷があり、アダムの肋骨からイブが作られた話を表していると思われる。
失楽園
二人の行動は段々とエスカレートしていき、書斎に勝手に入り込んだことにより、夫から追い出される。この書斎はエデンの園を表しており、神ヤハウェから禁じられていた知恵の実を食べたことによりエデンの園からアダムとイブが追放(失楽園)されたことを再現している。
人類最初の殺人と大洪水
そのアダムとイブの息子である兄弟が突然家に転がり込んでくると喧嘩をし始め、遂には兄が弟を殺してしまう。捧げる収穫物の違いで神ヤハウェから目を留められた弟アベルを嫉妬した兄カインが殺害に及んでしまう話は有名である。沢山の来訪者が現れ、家で弔いを行うこととなるが、案の定好き勝手で家の中を荒らされてしまう。椅子は壊れ、水道は破裂し水浸しに(大洪水)…。そんな騒動がきっかけとなり口論に発展する妻と夫。最終的に仲直りをし、身体を重ね合う二人。
受胎告知と新約聖書
妻が妊娠し、夫も詩を書けないスランプを克服。どんどんイメージが湧いて出るようになり、公表した詩は大ヒット、世間から注目を集めることとなる(原罪を背負ってイエス・キリストが命を落とす新約聖書)。お腹の中の子は、イエス・キリストだと思われる。
地獄絵図
夫の詩に感銘を受けた民衆が家の前に集まってくる。銃声から始まり、理不尽な暴力、略奪、爆発、虐殺…。妻は何が起きているか理解出来ませんが、恐怖でしかありません。それもそのはず、母なる大地である妻の目線で見ると、人類の過ちはこんなにも恐ろしいことなのでしょう。
衝撃の結末
やがて、民衆は、出産して夫に預けた赤ん坊(イエス・キリスト)を奪うと、殺害し、皆で食し始める(日本公開中止の要因の一つ…?)。激怒した妻は家に火を放ち、家は瞬く間に全焼。妻は全身火傷でかろうじて生きている状態。そんな妻を抱き抱えて書斎(エデンの園)に連れて行く夫。赦そうと説得する夫に、あなたの好きにしてと伝える妻。時が戻り、妻も元通りになるが、表情は以前とは違う。宗教観の違いによって起きる戦争や宗教を都合良く解釈し宗教の名の下に罪を重ねる人類、そしてそんな過ちが家であり妻であり母なる大地を弱らせていく。そんな大地を作り直し元通りにする神である夫(天地創造の7日間)。
人間の醜さ、そして環境破壊…。聖書をモチーフにし、ダーレン・アロノフスキー監督は、現代社会へのアンチテーゼを強く伝えたかったのではないかと感じました。
以上。
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