あらすじ
夫を亡くしたトラウマを癒す為、美しい田舎町に単身滞在することに決めた未亡人ハーパー。宿の管理人に始まり、牧師、少年、警察官、町で会う人々がみな同じ顔であることに気付く。得体の知れない恐怖の正体とは…。
予告
作品について
『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』『ライトハウス』など濃厚なスリラー映画を排出し続けるアメリカの配給会社A24と同社代表作のうちの一つ『エクスマキナ』アレックス・ガーランド監督が手を組んだ最新作『MEN 同じ顔の男たち』は究極の体験間違いなしのSFスリラーです。
監督
イギリス人のアレックス・ガーランド。代表作は『エクス・マキナ』、『アナイアレイション 全滅領域』、『Devs』等。
個人的には、監督が脚本を担当したゾンビ映画『28日後…』が一番好きです!
主演
ジェシー・バックリー
主人公ハーパー役。ドラマ『チェルノブイリ』リュドミラ役、映画『ドクター・ドリトル(2020)』ビクトリア女王陛下役等に出演。
ロリー・キニア
同じ顔の男たち役。映画『007』シリーズでビル・タナー役として出演。
視聴後の閲覧を推奨します。
考察【ネタバレ注意】
はじめに
アレックス・ガーランド監督は、インタビューやパンフレットにも書いてある通り、本作について「答えを提示しないことで、三者三様の考え方が生まれる作りにしている」と答えている。つまり様々なサイトを巡り、考察や解説を読み漁った所で明確な答えは存在しないということになる。だが、各々の解釈を進める為のお手伝いは出来る。
失楽園
ハーパーは、別荘にやって来てすぐに庭に落ちていたリンゴを食べます。それを見ていた別荘のオーナー・ジェフリーは「いけない、禁断の果実だ」と戒めます。禁断の果実と言えば、旧約聖書『創世記』のアダムとイブ。二人は、ヘビに唆され禁断の果実に手を付けた結果、羞恥心が芽生え、自分達が裸でいることが恥ずかしくなります。また、神から「お前はこれから一生自らの手で大地を耕さなくてはならない」とアダムは言われ、「夫に支配され、子供を産む苦しみを知ることになるだろう」とイブは言われます。このジェフリーの何気ないジョークから始まり、その後も夫人であることを追求されたりと、男性・女性・出産というワードがちらほらと見え隠れします。
グリーンマン
作中に全裸で登場するインパクト満点の彼は恐らく実在する人物。但し、物語後半の全身を葉で覆われた彼は、ハーパーの見た幻覚の可能性が高い。何故なら、前半では登場に脈絡があるものの、後半ではセンサーライトのオンオフで突然登場しているからである。これは、全裸の男性に追い掛け回され怖い思いをしたのにも関わらず、害はないと簡単に釈放されたストレスも関係しているのではないかと思う。そもそも、グリーンマンとは、中世ヨーロッパ美術の建築で見られる葉で覆われた人頭像のこと。何故この様な像が作られたのかは今も分かっていない。物語後半でも口から胞子(タンポポの綿毛)を飛ばし、ハーパーに吸わせるという受粉の様な不可解な行動を取っている。物語のテーマだと思われる不快感の一部分を担い、ここでもやはり、男性・女性・出産というワードがちらほらと見え隠れします。
シーラ・ナ・ギグ
16世紀以前の教会で埋もれている所を発見された、女性の外陰部を表現した像。何故この様なモノが作られたか不明な様に、作中でも得体の知れない気持ち悪さを感じます。
レダと白鳥
ドラマ版『ハンニバル』でも若かりし頃のレクター博士が食事の場所に飾っていたのが印象的な絵画。主神ゼウスが白鳥に変身し、スパルタ王の妻レダを誘惑したことをテーマとする西洋の絵画や彫刻を表します。性愛描写が含まれ、こちらでも性を強調しています。
おわりに
"女性"を強調することで、男性の不快感を助長し、いくら考えても答えの見つからない気持ち悪さと先の読めない展開は、既存のホラー作品では満足出来ない人には面白い作品だったかもしれません。開いた口が塞がらなくなるので誰かと一緒に観るのはあまりおすすめできません…笑
以上。
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